DavidBowie/"Heroes"(1977)・実は2回目だった
◆熱戦の続くロンドンオリンピックもいよいよ閉幕します。今回特に感じるのは、その人の競技は4年に1回のその1日しかない事。全体は17日間あってもそれぞれの種目は1回きりで、ピークを合わせるのがいかに難しいかを知りました。そして、個人競技であっても、"チーム力"で闘っている事も。
◆自由課題の4作目はDavidBowieの『"Heroes"』です。DavidBowieは、コレがなくても立派に『ジギー』の人であり『戦メリ』・『Let'sDance』の人なのですが、やはり『Low』があって続く『"Heroes"』があって、今の存在たらしめているのだと思います。そんな意味で、本作は彼にとって決定打となった作品です。
◆「Fame」でのプラスティックソウルで全米1位に昇りつめた彼が次に向かったのはベルリンでした。当時勃興するジャーマンロック・テクノに誘発されて作った『Low』で手応えを得た彼は、イギリスで隆盛するパンクをも射程に、『Low』よりも親しみのある、それでいて突き刺さるものを目指しました。そのための布陣がBowie&ViscontiにCarlosAlomar、Eno、そして今回RobertFrippを招いたのです。全体のトーンをEnoがアンビエントで下敷きしながらも、Frippの硬質なソロがそれを切り裂くA面は圧倒的な破壊力。インスト中心のB面も、Bowieの琴が鳴る⑧「MossGarden」があって日本人には親しめるものでした。結果、本作は"この時期、このメンバーにしか出せない、硬質で鋭角ながらもキャッチーでポピュラリティのある作品"として後世に残ることとなりました。
◆③表題曲はベルリンの壁で落ち合う恋人を見てBowieが着想した曲と言われています。ベルリンの壁は長く冷戦の象徴であり、今は民主化の象徴、この曲もそうです。今回ギターに呼ばれたRobertFrippは最初は参加を拒み、6時間で完璧なテイクを撮り、帰ったとか。ジャケットは鋤田正義氏の撮影、オーストリアの画家エゴンシーレの自画像を真似たポーズとBowieの目が印象的。真の名盤はエピソード、佇まいから名盤然としているのです。
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